先日相続のご相談を受けました。遺産のうち不動産の一部だけを先に二女の名義に相続登記をしたい。他の不動産及び他の相続財産はまだ誰に相続させるか決まっていない。先に不動産の一部の遺産分割協議をすることは出来ないのかという内容でした。
どうなのか色々と調べてみました。
民法906条によると「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」と定め、907条1項に「共同相続人は、遺言で禁じられた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる」
同2項に「遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることが出来ないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる」と規定されています。
この要件に従って遺産を分割しなければならないのが原則です。
しかし、遺産分割は、一度の遺産分割に固執する必要はないと考えられています。ただ、一部分割は漠然と遺産を分けて分割できる訳ではなく、その分割される部分を残余部分から明確に分離しなければならないとされています。
よって、遺産の一部分割は、一部分割と残余財産の分割とをそれぞれ独立した協議とし、個別的に決着をつけるということを明確にしたうえであれば、することが出来るということでした。
依頼者の方にもその旨説明し、無事相続登記をすることが出来ました。