相続税も所得税や法人税と同じように、税務調査が行われることがあります。相続税の調査を行うのは、税務署の資産税課税部門の担当官です。相続税が高額の場合は、税務署の上部組織、国税局の所管になります。脱税の場合は、国税局の査察部(通称:マルサ)が調査します。調査を受ける相続人は、遺産を相続した全員という場合もあれば、特定の相続人又は複数の相続人ということもあります。
一方、調査する側、例えば査察部などは数十人規模の調査官がチームを組んで徹底的に調べます。会社に対する税務調査は、事業を行っている場所で行うのが一般的ですが、相続税の場合は、通常、被相続人の自宅で行います。現預金、有価証券、不動産など相続財産のすべてが調査の対象になります。これらの財産について申告漏れがないかどうか、相続人への質問や、金融機関に対する反面調査などがおこなわれます。
税務署が調査をするかどうかは、相続税額や過年度の所得税の申告状況等から判断しますが、なかには、遺産分割に不満のある相続人からのリークつまり「タレコミ」が発端となることもあります。
調査は原則として納税者に事前通知されます。自宅での調査の場合、タンスや引き出しを勝手に開けられるのではないかと心配する人もいるかもしれませんが、査察による強制調査でない限り、任意調査として納税者の同意を得ながら進められます。
調査の事前通知が来たら、相続税の申告書の控えを見直し、相続財産となった預貯金の通帳と印鑑、証券会社との取引記録、不動産の登記簿謄本等相続に関するものを一か所にまとめて準備しておきましょう。また、調査前の段階で申告漏れが判明した場合、修正申告を提出すれば、ペナルティとして本税に加えて賦課される過少申告加算税は逃れることができる可能性があります。預貯金等は、被相続人名義のもののほか、相続人やその家族名義のものまで調査されますので、いわゆる名義預金がないかどうかも確認しておいたほうが良いかと思います。
しかしながら、正しい申告と納税がされていれば、必要以上に恐れたり心配したりすることは全くありません。