昨年、旦那さまがお亡くなりになられた奥様からの相続登記のご依頼を受けました。さっそく、市役所へ相続登記で必要となる、住民票、戸籍謄本や名寄帳などを集めに行ってきました。
司法書士、行政書士は職務上請求書を使い戸籍謄本、住民票の写しを請求し取得することができます。ただし、これは受任している事件や事務を遂行するため必要がある場合であり、いつどんな時でも取得できるものではありません。住民票や戸籍謄本などを不正に取得され、第三者へ横流しなど悪用をされたら嫌ですよね。(実際にそういった事件も過去にあります。)
そこで、不正請求、不正取得を防止するために「本人通知制度」というものがあります。
これは市区町村が、住民票の写しや戸籍謄本などを、司法書士・行政書士・他士業など第三者に交付した場合に、本人へ交付したことを知らせる制度です。事前に市区町村へ登録をすることで利用することができます。登録をすると、登録をした方へ交付年月日、交付請求者、交付した証明書の種別、交付枚数が通知されます。(通知の方法は、市区町村の役所により異なります。)実務で、相続登記業務の際、職務上請求書を使い戸籍謄本等を集めていると、相続人の方から「なぜ、私の戸籍を取得したのか?」といった問合せを受けることがあります。
本人通知制度はすべての市区町村で実施されておりません。私の住む島根県松江市では、まだ実施されておりません。早く実施されると良いと思いますが。気になられた方はお住まいの市区町村へお問い合わせください。
『戸籍の請求』
戸籍の取扱事務は市役所・町村役場が行っていますので、戸籍の謄本は市役所・町村役場で取得することができます。ただし、どこの役場でも目的の戸籍謄本が取得できるわけではありません。戸籍は、本籍地の役場が取り扱いますので、取得したい戸籍の本籍地を管轄する市役所・町村役場に戸籍の謄本の交付を申請します。
本籍地がどこかわからないときは、ご自身の本籍地記載の住民票を取得することで本籍地を知ることができます。住民票を取得する際には必ず申請書に「本籍地の記載のあるもの」と記載又は項目にチェックをしてください。記載がないと本籍地の記載のない住民票を渡されてしまいます。
戸籍は生年月日、親子関係、婚姻、離婚などの身分関係の変遷が記載されている個人情報です。他人の戸籍はもちろん、親族の戸籍であっても請求すれば必ず交付されるというわけでありません。個人情報を人に知られたくない方もたくさんいますので、交付してもらえる戸籍は限定されています。
戸籍謄本の交付が受けられるのは、戸籍に記載されている者、その配偶者(夫・妻)、直系尊属(祖父母・曽祖父母)、直系卑属(子・孫)です。
たとえご兄弟であっても戸籍が別になっていれば、互いの戸籍謄本を取得することは原則的にできません。第三者が戸籍を請求するに本人の委任状及び請求の理由が必要となります。
何かお困りのことがございましたら、司法書士法人彩サポートにご相談くださいませ。
