「登記識別情報の失効の申出」という制度があります。登記情報の失効の申出とは登記名義人の請求により、いったん有効に取得した登記識別情報を失効させる制度です。
この請求は登記識別情報をなくしてしまった場合や、盗まれてしまった場合などに、登記識別情報を使用した不正登記の防止に利用されます。
この請求には登記識別情報を提供する必要はありません。しかし、この請求が登記名義人からの請求であることを確認する必要があります。そこで、オンラインによる請求であれば電子署名と電子証明書、書面による請求であれば印鑑証明つきの印鑑で確認をされることになります。
なお、いったん有効な登記識別情報が提供され、登記の申請がなされた後に失効請求が行われた場合は、この登記申請は有効な登記識別情報の提供があったものとみなされます。したがって、紛失や盗難などによる情報の漏えいには十分に注意をしなくてはなりません。
登記識別情報の管理をしたくないという場合には、登記識別情報の通知を拒否することができます。
登記識別情報は12桁の英数字が並んだパスワードみたいなものなので、一度他人に知られるだけで悪用される可能性があります。登記済証のように物理的に処分することはできません。そこで「登記識別情報の管理に自信がない」とか「管理をしたくない」という登記名義人は、事前に登記情報の通知を拒否することができます。
この申し出があると登記識別情報は通知されません。通知を拒否した者が、その後権利に関する登記を行うには、事前通知制度や資格者代理人などによる本人確認制度を利用します。
個人情報の漏えいの問題が頻繁に言われている現在では、登記識別情報を悪用した不正登記の被害にあわないようにするためにも厳重な管理を心掛けたいものです。