役員を選任することを忘れてしまった場合、どのような状態になるのか?(NPO法人は『役員不在』状態になります)
役員の任期は定款により定めることになっています。任期が満了したときには役員の選任をすることが必要です。
これは、従前の役員の方が再任する場合であっても同様です(役員の再任の登記が必要です)。
それでは、任期が満了したにもかかわらず選任をすることを忘れてしまった場合、役員の地位はどのような状態になるのでしょうか。
株式会社の場合は、いわゆる「権利義務承継」の規定(会社法第346条1項)がありますので、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有するとされています。
これに対して、特定非営利活動法人(NPO法人)の場合は、「権利義務承継」の規定がありませんので、役員の選任をすることを忘れてしまった場合には、『役員が不在』という状態になってしまいます。NPO法人の理事全員の任期が満了してしまうと、理事が社員総会を招集することができません。このような場合は、仮理事選任手続きを行う必要がありますが、仮理事の選任を待つことができない急迫の事情がある場合においては、所轄庁と協議の上、理事による召集以外の方法によって社員総会を開催することもあるようです。
たとえば、仮理事選任手続をするまで社員総会において理事の選任ができない状態が続くとすれば、当該法人が行う活動の利用者等に著しい支障及び不利益が生ずるおそれが顕著である場合などです。
役員変更登記の添付書類として社員総会議事録等を提出することが必要ですが、上記のような事情を記載したものが求められますので、議事録作成の際には注意が必要です。