筆界特定制度
平成18年から筆界特定制度が始まりました。この制度は、これまで土地の境界が隣の所有者との話し合いで決まらず、話し合いで解決しない場合は、裁判上で決着するしかありませんでした。そこで、裁判ではなく当事者の意見を聞き法務局独自の調査、測量等により、法務局に境界を決めてもらうというものです(正確には新たに筆界を決めることではなく、もともとあった筆界を明らかにするというものです。)。この制度を利用し決まった境界に対して異議がある場合、裁判上で争うことも出来ますが、裁判所はこの制度により決まった境界を第一に採用するという取り扱いになっているそうですので、この制度により決まった境界は、ほぼ間違いない境界と考えて良さそうです。
この制度、あまり聞き慣れないかも知れませんが、松江市でも結構利用されている様です。以前、土地家屋調査士の方にこんなことを聞いたことがあります。「境界で揉めるとどうしようもなくなる場合もある。そういったときにこの制度を利用すると必ずどこかを境界として決めてもらえるので、物事が先に進んでいくというメリットがある」そうです。
もちろんデメリットもあります。デメリットと言っていいのかについては疑義があるかもしれませんが、それは、自分が考えていた境界と、決めてもらった境界が違うという結論になってしまう場合もあるということです。
松江市での現在の取扱いは、申し立てをしてから境界が確定するまで、おおよそ6カ月の時間が必要とのこと。測量等の費用は、土地家屋調査士の方に直接依頼する場合と比較すると若干安価になるようです。
制度が始まって数年が経ち、徐々に広まってきているこの制度。司法書士が代理人となって申し立てをすることも可能ですので、彩りサポートに是非ご相談下さい。
予告登記
現在の不動産登記簿では、ほとんどお目にかかることがないのでご存知ない方も多いかと思います。この予告登記というのは、平成17年の不動産登記法改正前に存在した制度で、裁判所の嘱託によりなされるものでした。現在はこの制度は廃止され、新たに予告登記がされることはありません。
この予告登記の目的は、すでになされている登記について無効や取り消しを原因として裁判所で係争中であることを登記簿上明らかにし、その不動産の取引等をしようと考えている第三者に警告を与えることが目的であったようです。取引の安全を第一に考えた制度だったと考えられますね。
つまり、予告登記がなされている不動産は何らかの裁判で係争中であり、権利関係が不安定だということがわかります。取引を再考するなどの機会を与えられるので、取引の安全が確保出来るということです。
先日、お客様から、かなり以前の予告登記というものが残っているがこれは何ですか。という問い合わせがありました。私も久し振りに聞いた単語で、直ぐにはお答え出来ませんでした。
所有者の方のお話では、不動産について過去に争ったことはあるが、現在は全て終わっているとのこと。なぜその時の登記が未だに残っているのか疑問に思われたようです。
今現在の予告登記についての法務局の取り扱いは、法務局の登記官が職権で抹消するということになっているようです。
なかなかお目にかかれない登記を見ることが出来、私も勉強になりました。