婚姻とは、戸籍上の婚姻届を提出して認められる正式な夫婦のことをいい、結婚とは役所に婚姻届を出して夫婦関係になることをいいます。しかし、これらの手続きは法律上のことだけであって、婚姻届を出さなくても「夫婦関係」にあるカップルはたくさんいます。あえて法律上の届を出さない「夫婦」もいれば、やむなく事情があって出せない「夫婦」もいます。このようなカップルのことを、法律上の夫婦と区別するために「内縁関係」とよんでいます。
長年連れ添って深い絆がある、けれども法律の上では正式な夫婦として認められていない。このような内縁関係にある夫婦は、法律上の夫婦とは相続において違う取り扱いがされます。
民法は、相続できる配偶者はあくまでも「婚姻届を出している正式な夫婦」に限るとしています。長い間別居を続けて、心も体も夫婦でなくなっていたとしても、婚姻届を出していれば、法律上は正式な夫婦として扱われ、相続をすることができます。
ところが、内縁関係の配偶者は、どんなに結びつきが強くても、1円たりとも相続することができないのです。(遺言による場合は別です)これは、法律上は正式な夫婦とはみなされていないからです。
では、婚姻届を出していないカップルの間に生まれた子供の相続はどうなるのでしょうか。
婚姻届を出していないカップルの子は、父親の認知が必要となり、認知をされていても「非嫡出子」として扱われます。
長い間、この非嫡出子と、婚姻届を出している夫婦の間の子である嫡出子は相続分において大きな違いがありました。非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1と定められていたからです。
しかし、2013年の民法改正により、この区別が無くなり、今では嫡出子も非嫡出子も同等の相続分を受ける権利を持っています。家族の形が多様化する中で、非嫡出子の相続分が嫡出子の相続分と同等になったのは今後への大きな前進であると言えると思います。