不動産登記の申請をする際に、申請人等が法人(株式会社、有限会社、独立行政法人など)である場合には、その法人の登記簿謄本(登記事項証明書)が添付書類とされていましたが、平成27年11月2日以降、登記簿謄本の添付の代わりに、登記申請書に「会社法人等番号」を記載するという取扱いに変わっています。
《以前の取扱い》
- 原則、「作成後3か月以内の登記事項証明書」を添付する。
- 申請先法務局の同一管轄内の法人の登記事項証明書は添付を省略できる。
《現在の取扱い》
- 原則、登記申請書に「会社法人等番号」を記載することとし、登記事項証明書の添付は不要。
- 「作成後1か月以内の登記事項証明書」を添付した場合には、「会社法人等番号」の記載は不要。
この取扱いの変更によって、便利になった反面、以前は省略できていた書類の省略ができなくなるという逆転現象も起きており、改正を求めたいところです。
例えば、住宅ローン完済時の抵当権抹消登記の前提として、金融機関の組織再編に伴う「合併による(根)抵当権移転」登記申請をすることがありますが、その際に、合併証明書として当該金融機関の履歴事項証明書や閉鎖事項証明書を添付します。島根県内の金融機関の場合、松江地方法務局(本局)においては以前はこれを省略すること出来ていましたが、取扱いの変更により、省略出来なくなりました。これは、現在の会社法人等番号では登記記録を確認することが出来ないからです。
結論としては、「登記官が発行した証明書」を添付して登記申請をするという、不自然な手続きになってしまうのですが、登記は添付書類が法定されているため、登記官としても、申請人に対して、上記登記事項証明書の添付を求めざるを得ないようです。
