抵当権設定登記と順位変更登記を同時に申請する案件がありました。すでに抵当権付きの不動産に新たに抵当権を設定し、なおかつ当該抵当権の優先順位を先順位としたいとのこと。
抵当権設定登記は、金融機関による融資の実行と同時に行われることが多いので、金融機関の要請により「抵当権設定日」に申請をすることが多いのですが、今回のケースでは、抵当権設定契約はすでに締結されており、「抵当権設定日」より遅れて登記申請をするということでした。
ところで、「抵当権の順位変更の登記における各抵当権者の合意の日付は、当該抵当権の設定登記の日以後でなければならない。」とされています。不動産登記は、早く登記した者が勝つ仕組みになっており、「順位変更」が登記記録上の順位を変更する手続きであるためです。つまり未登記の抵当権の順位変更という登記手続きは想定できないので、順位変更の合意の日付は、最速でもそれらの抵当権の設定登記の申請日ということになります。したがって、今回のような場合は「抵当権設定日」と同日付での順位変更を登記することはできない、ということになります。
ちなみに、順位変更登記の登記原因証明情報には、順位変更に係る抵当権についての順位番号、受付年月日及び受付番号等の記載をすることによって抵当権を特定しなければなりません。
今回のケースでは抵当権設定登記および順位変更登記を同時に申請(書面申請)しましたので、申請しないとわからない受付番号については、登記所の受付で記入をしました。