不動産の所有権が移転する売買以外のケースとして「贈与」があります。贈与は他人同士よりも、親族間で行われることが多い傾向があります。また、個人事業主が自分の会社に対して、所有する不動産を贈与する場合も見受けられます。贈与については、民法の規定によって、書面によらない場合は撤回できることになっています。これは、軽はずみな贈与を防ぐためのものです。ですから、贈与といっても念のために書面にしておくべきです。ただ、書面によらない贈与でも、所有権移転の登記や不動産の引き渡しなど、履行がなされた後は撤回することはできません。
登記を申請する前に贈与される不動産について登記記録にどのように記録されているかを確認しておくことが大切です。登記記録を調べる前提として、土地であれば所在と地番を、建物であれば所在と家屋番号を確認しておきます。地番や家屋番号については登記済証や登記識別情報、固定資産評価証明書、固定資産税の納付書を参照すればわかります。次に、不動産を管轄する法務局に行って登記事項証明書の交付申請をします。登記事項証明書を見て、土地であれば所在、地番、地目、地積が登記済証の内容と一致しているか、建物であれば所在、家屋番号、種類、構造、床面積について確認をしておきます。引っ越しなどによって所有権の登記名義人の住所が変わっているときには、登記名義人住所変更登記を申請する必要があります。登記記録上の登記義務者の住所と住民票などの添付書類に記載されている住所とが一致していなければならないからです。登記記録の内容を確認して問題がなければ申請をします。
また、贈与の場合には、贈与税がつきまといます。不動産の価格がわかれば贈与税自体の計算はそれほど難しくはありませんが、不動産の価値をどのように評価するかということについては、専門家に相談した方が良い場合があります。後になって思いがけず高額の贈与税を課税されて驚くことを避けるために、事前に税理士などに相談したほうが良いでしょう。また、未成年の子から親への贈与、会社からその会社の取締役への贈与の場合、子供や会社の利益が損なわれるおそれがあるため、特別代理人の選任、取締役会での承認が必要となる場合があります。このような場合にはぜひ私ども司法書士法人彩りサポートにご相談いただき、手続きまでご依頼いただければスムーズに運びます。