「役員の重任登記はお済みですか?」
5~6月にかけて、商業・法人登記の繁忙期を迎えます。会社の決算を3月としている株式会社では、毎事業年度の末日から3ヶ月以内に定時株主総会を開催するとしていることから、この時期に役員の任期が満了し、役員変更登記手続きを行う必要があるためです。
『役員変更』登記と言うと、取締役や監査役が交代したときにだけ行えばよいと思われがちですが、役員全員が再任し、全く同じ顔ぶれで役員を続ける場合であっても、役員変更登記は必要です。これを怠ると「登記懈怠」とされ、過料(行政罰)の規定がありますので、注意が必要です。長らく同じメンバーで役員をされている会社の場合、役員の任期がそもそも「よく分からない!」ということもあるでしょう。株式会社の役員の任期が何年であるかは、会社の定款に書いてありますので、ご確認下さい。ちなみに、特例有限会社の場合は、取締役、監査役の任期は原則「無期限」ですので、重任の登記の必要はありません。
また、監査役については、平成27年5月1日から、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社は、その旨の登記をしなければならないことになりましたので、監査役の就任、重任等の登記を申請する際には、この会計限定監査役の定めの登記も併せてしなければなりません。「こんな定款の定めなんて聞いたことがない」という会社の場合でも、定款の定めがあるとみなされている株式会社は多いので、ご注意下さい。
さらに、役員変更登記の添付書類として、主要な株主の記載のある「株主リスト」の提出が求められるようになっております。昨今の法改正により、以前よりも登記すべき事項や添付書類について注意が必要なポイントが増えているので、ご不明な点があれば是非ご相談いただけると幸いです。
「会社分割」
会社分割という言葉を聞いたことがありませんか?近年、M&A等が頻繁に行われるようになりマスコミでも取り上げられることが多いと思います。
そんな会社分割についての内容について考えてみたいと思います。
会社分割とは、既存の会社を複数の法人格に分割し、それぞれの法人格に資産や事業を移転させる手法のことをいいます。
会社分割には、分割により新たに会社を設立し、この新設会社に旧会社の資産や事業の一部又は全部を承継させる「新設分割」というやり方と、既に存在する別の会社に資産や事業を承継させる「吸収分割」というやり方があります。
会社分割は、会社内の成長部門を独立した会社にしたり、あるいは不採算な部門を独立させたり、または会社内で類似する部門をまとめて独立させるなど、会社を整理する手法となります。独立させた後は、その会社を手放したり、各会社の上に資産管理会社(ホールディングス制)を置くなどすることが多いようです。
また、各部門を独立した会社にすることで、それぞれの会社に社長が誕生し、経営者的な立場で仕事をする社員が増えるというメリットがあります。
ただし、その各会社を管理するというコストが増えるというデメリットもあります。
しかし、その点については経営者と管理者を分けることで十分補えるのではと考えられます。